相続土地の国庫帰属-テスト運用開始

相続土地の国庫帰属手続きとは

相続土地の国庫帰属手続きとは、令和5年4月にスタートした新たな制度で、相続によって所有権を取得した土地を国にお返しする手続きのことです。

例えば、父が農業を営んでいたが、相続した息子の自分は農家ではないため、農地や山林は利用することがなく固定資産税を支払うだけの不要な土地である・・・こういうときに処分方法のひとつとなります。

当事務所では、この手続きの試験運用を開始しました。
そこで、相続土地の国庫帰属手続きと、当事務所でのテスト運用の流れについて解説します。

なお、いらない土地ですから多額の費用をかけたくないと思いますので、土地の測量に当たり当事務所で実施してできるだけ安価になるようにしています。
土地家屋調査士や測量会社に委託した場合、緻密な測量を伴うため費用が増すので、これを避ける取り組みを行います。

対象地域について

当事務所では、県内全域を対象として国庫帰属手続きを行います。

ただし、以下の地域は近郊のため迅速に対応可能ですが、遠方については、片道2時間程度を目処として対応させていただきます。(土地の所在が遠方の場合は、お電話でご相談ください。)

・雫石町、滝沢市、盛岡市、八幡平市、岩手町、葛巻町、西和賀町、矢巾町、紫波町、花巻市

相続土地の国庫帰属手続きの流れ

1 事前調査

どのような場所にある土地であっても、土地の境界を確認したうえ、境界全点に杭を設置する決まりとなっています。

よって、境界を把握できる土地であるかどうか、境界を特定するため隣接所有者が誰なのか、過去に測量しているのかどうか、境界杭は既に設置されているかなど現地及び関係資料の調査を行います。
これら調査によって、承認申請可能な土地かどうかの判断をさせていただきます。

また、国庫帰属の手続きは、申請手数料のほかに帰属承認後に負担金の支払いを要します。
この負担金は、原則1筆につき20万円ですが、その土地の場所や状況により面積によって増加する場合がありますので、これらがどの程度の金額になるのかも算定いたします。

そこで、着手金として当面1万円(対象土地及び近隣土地多数の場合は、2万円程度)を申し受けて上記の調査を行い、法務局へ申請可能な土地かどうか見込みを判断をさせていただきます。
承認申請可能な場合、概算費用と総額を提示しますのでご依頼するかどうかご検討ください。

 負担金の算定

国庫帰属手続きを進めるかどうかの材料として、負担金がどの程度になるかが重要です。負担金の確定額は、承認申請後に法務局から通知されて初めて判明しますが、筆数が多いときは金額がかさみますので概算額として算定します。

 負担金の基準となる土地の区分及び算出

 申請のあった土地は「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に区分され、この区分に応じて負担金が決定します。
この土地の区分は、登記記録上の地目とは異なり、現地の実態で判断されます。

 上記面積区分に基づく算出は、法務省ホームページをご確認ください。

 合算負担金の申出が可能な場合

隣接する二つ以上の土地のいずれもが同一の土地区分である場合、合算申出することで、それらを一筆の土地とみなして負担金を算出することができます。
これを有効に活用することで負担金の額を抑えることができます。

事例① 隣り合う 田5筆 を国庫帰属する場合-20万円(農業振興地域ではない土地)

 通常であれば、20万円×5筆=100万円 ですが、隣接する土地の場合は5筆全体で一つの土地とみなされたすことができます。

事例② 隣り合う 田3筆+畑2筆 を国庫帰属する場合-20万円(農業振興地域ではない土地)

 田及び畑は、いずれも土地の区分が「農地」に該当するので、合算して負担金を算出できます。

上記以外の事例は、法務省ホームページをご確認ください。

2 対象土地の測量

事前調査により申請可能が見込まれる土地であった場合、対象土地を特定、測量を行い、その境界に杭を設置します。
このとき、ご依頼者のほか隣接土地の方と連絡を取り、必要な立会いも行います。
また、申請書作成のため必要な写真撮影などを行います。

3 申請書の作成・申請

調査結果を基に承認申請書を作成します。
また、添付書類として対象土地の全体や杭の写真などを含めた図面を併せて作成します。

申請手数料

1筆につき 14,000円

対象土地の数の分だけ納める必要場あり、この手数料は取下げしても返金されない点に注意が必要です。なお、費用及び報酬の支払もこのタイミングでお願いたします。

承認申請書については、郵送により提出することで対応します。受付された承認申請は、法務局において審査されます。
現地調査のほか土地を引受ける官庁の特定など承認可否の判断に至る期間は8ヶ月となっていますが、冬期間を挟む場合などさらに時間を要する場合があります。

4 負担金の納付

審査の結果、引受官庁が決まり承認決定されると負担金の納付するよう納入告知書が送付されます。
申請者は通知後1か月以内に負担金を日本銀行代理店等(ゆうちょ銀行、地方銀行、信用金庫、農協・漁協等)の窓口で納付します。

法務局では、負担金納付があった後、対象土地の名義を引受官庁に変更します。これにより国庫帰属手続きが完結します。

  

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